油圧ブレーカーが叩かない原因は?現場でできる対処法と修理の必要性
- 楢﨑 雅也
- 8月6日
- 読了時間: 5分
更新日:8月6日

現場で突然「油圧ブレーカーが叩かない(動かない)」という状態に遭遇することは珍しくありません。 緊急で当社へご相談いただく際もいきなり修理を案内するのではなく、アタッチメント修理のプロとして、まず試していただきたい事などをお伝えしております。
「油圧ブレーカーの修理の仕方を教えてくれたら、リペアさんに仕事が行かなくなりませんか?」と心配される声も出そうですが、これまでも何度となく油圧ブレーカーの故障による相談をいただき、当社が対応することなく電話だけで修理できたこともあります。
結果的にはその半年後、アタッチメントの修理を正式にいただけたりしているので、まずは、こちらの記事を参考にしていただき、試してみてください。
それでは、今すぐできるチェックポイントと、修理が必要なケースについてわかりやすく解説させていただきます。
あれ?故障?油圧ブレーカーでよくある症状「叩かない」「弱い」「動かない」
■よくある症状ランキング
1位:まったく動かない/カチカチ音だけする
バルブやスイッチが正常に作動していない場合や、電気信号がうまく伝わっていないケースが考えられます。作動油の循環が止まっている可能性もあるため、まずは油圧系統のチェックが必要です。
2位:動くが力が弱い
ピストンの動きが鈍い場合や、油圧の圧力が不足していると、打撃力が極端に落ちることがあります。オイル不足やバルブの摩耗、ホース内のエア混入などが原因となることもあります。
3位:時間が経つと動かなくなる
使用開始時は動作するものの、しばらく経つと停止する場合は、オイルの過熱やフィルターの詰まり、ソレノイドバルブの不調などが疑われます。連続使用による熱ダレも要注意です。
■現場で確認できる原因チェックリスト(簡易点検)
すぐに修理業者を呼ぶ前に、現場でできる簡易チェックを行うだけで復旧するケースもあります。 以下を確認してみてください。
油圧ホースが破損・抜けていないか
目視で確認し、ホースに漏れや外れがないかチェックしましょう。少しのオイル漏れでも圧力が低下するため、早期発見が重要です
コントロールバルブやペダルスイッチの故障
スイッチの反応が悪い、またはまったく動かない場合は、電気的または機械的な故障が考えられます。異物の挟まりや配線の断線がないか確認します。
オイル残量・フィルターの詰まり
オイルゲージで油量を確認し、不足していれば補充を。フィルターの詰まりも打撃力の低下や停止の原因になるため、定期的な清掃・交換が必要です。
電気系統(ソレノイド、スイッチ)の不具合
電源が入っていても作動しない場合、ソレノイドバルブやリレー、スイッチの不具合が疑われます。通電確認や配線の接続状態を点検してみてください。
それでも直らないときは?修理が必要なケースと対応方法
現場での簡易点検で原因が特定できず、症状が改善しない場合は、内部部品の摩耗や故障の可能性が高くなります。
油圧ブレーカーは精密な構造を持つため、分解や内部の点検には専門的な知識と技術が必要です。以下のようなケースでは、無理に使用を続けるとさらに症状が悪化し、修理費用が高額になることもあるため、早めの対応が肝心です。
アタッチメント修理の専門業者による点検・修理が必要なケース
ピストンやチゼルが摩耗・破損している
連続使用によりピストンやチゼル(先端工具)が摩耗していると、打撃力が大きく低下します。チゼルの交換だけで回復することもありますが、内部に損傷が及んでいる場合は分解整備が必要です。
内部のオイルシールが劣化している
オイルシールの劣化や破損により油漏れが発生していると、油圧が逃げてしまい、力が伝わりません。長期間メンテナンスをしていない場合に起きやすい不具合です。
シリンダーやバルブの損傷
シリンダー内の傷や、内部バルブの破損は外部からでは判断が難しいため、専門の分解点検が不可欠です。場合によっては部品交換またはオーバーホールが必要になります。
異音や振動がひどい場合
打撃時に異音がする、振動が大きくなったといった症状がある場合も、内部パーツの破損や緩みが原因の可能性があります。放置すると重大な故障につながる恐れがあります。
不調を感じたら、まずは点検と早めの対応を
油圧ブレーカーの「叩かない」「弱い」「動かない」といった症状は、意外と些細な原因で起きていることもあります。
まずは現場でできる範囲の点検を行い、それでも改善しない場合は無理せず、専門業者に点検・修理を依頼することが大切です。
ほとんどの油圧ブレーカーにはバックヘッドと言われる部分に窒素ガスが高圧で充填されております。
何らかの原因でガスが漏れ、規定圧力不足により叩かなくケースがよくございます。ガスを再充填させれば打つこともありますが漏れ原因の部分を解消させなければなりません。
パッキン、シールの劣化、ガスバルブの損傷などです。シール関係は使用頻度により摩耗します。反対に長年機械を放置(使わず)でも劣化します。適度にオーバーホールをお勧めいたします。
現場での突然のトラブルを防ぐためにも、日常点検と定期的なメンテナンスを心がけましょう。
リペア産業の油圧ブレーカー修理事例
油圧ブレーカーの修理事例をご紹介します。

0.1㎥クラス 油圧ブレーカー 甲南建機 MKB150M3
0.1㎥クラス ブレーカー 甲南建機 MKB150M3 油漏れ補修
修理内容
シリンダー分解後、油漏れ原因ヶ所であるピストンを交換しました。
シリンダー接続面や内部を洗浄後シール交換し、油圧テストを行い油漏れしていない事を確認しました。